今回の超私的聖地巡礼は、和歌山県にある高野山をご紹介します。
高野山は、平安時代に、弘法大師(空海)によって開かれた日本仏教界の一大聖地。私的でもなんでもない「ほんまモン」の聖地です。空海は、当時京都の都の真ん中にある東寺で修行や説法をしていたものの、もっと人里離れた山奥で修行を・・・と、半ばお告げのようにこの高野山の地を発見し、西暦816年にここを開かれました。海抜1千メートルの山上に広がる高野山は、東西約6km南北約3kmの盆地で、他の山々の険しさから考えると本当に不思議にそこだけ平地になっているのです。

そんな霊験あらたかな高野山は、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界文化遺産にも登録されて、今や世界的にも知られた観光地となっています。そんな場所ですが、もともと関西出身の私からしたら「高野山?え?林間学校で行ったことある」的な、ある意味親しみのあるというか、「そんなにすごいとこなんですか?」と思ってしまうイメージの場所でした。(同様の症状が奈良と京都にもあったりします)

ですが、先日ちょっとした御縁で高野山にほぼ初めて行くことになり、その地を訪れてみて、「ゴメン、今まで見くびってた。すみませんでした!」とちょっと謝りたくなりました(笑)。というわけで今回はそんな高野山の私的な見どころをご紹介します。

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高野山は海抜1000mの高地ですから、山に上る必要があります。車でも行けますが、気分を出すなら電車を乗り継ぐほうが面白い。南海電車というのに乗って、大阪のなんば駅から極楽橋まで特急で約1時間半。そこから高野山ケーブルに乗って高野山駅へ。5分であっという間に到着です。

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駅からバスに乗って中心部へ。途中にこんな入口?の灯籠がありました。
山内路線バスというのが、わりと頻繁に走っていて、パスを買えば乗り放題なのでお買い得です。
メインストリートには、いわゆるおみやげ屋さん、だけでなく、数珠屋さんや漢方薬局など、いかにも仏教的な?お店もありました。看板がいい味出してます。

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高野山は、仏教の聖地なので、宿泊所も宿坊といって、お寺さんがやっているところがほとんど。そこで精進料理をいただいたりして、静かな時間を過ごします。私は宿坊ではないゲストハウスに宿泊したので、宿坊の夕食時間と思われる時間帯に外を散歩していたらこの通り。平日とはいえ、人がほとんどいません。静かな時間でした。

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高野山には、いくつかメインの見どころがあって、その一つが奥の院。奥の院には、空海のお墓である弘法大師御廟があり、そこへ通じる約2kmの参道両側には、樹齢数百年の杉が高くそびえ、その杉のもとには、少しでも大師様の近くで供養されたいと願う数十万基を超える各時代の、あらゆる人々の供養塔が建ち並んでいます。戦国武将や企業の社長、一般個人までそれはそれはありとあらゆる供養塔。けれど、何故かいわゆる「墓地」っぽくなく、不吉な匂いみたいなものは全く感じません。

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夕方以降、早朝にもこんな灯籠(今は電気式だけど)が灯され、なんとも幻想的。

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赤い袈裟を着たお地蔵さんもそこかしこに。化粧をしているのもあります。

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実は、毎日この奥の院では、生身供(しょうじんぐ)といって、(空海は亡くなったのではなく、入定され、今も瞑想されている身なのだ、という考えに従って)弘法大師さまの食事を一日2回、ちゃんと作ってお供えしていて、毎日その儀式が見られるというので、早朝6時に奥の院の御廟で行われるそれを見にいってきたのでした。御廟では写真撮影や飲食・携帯電話の使用など一切禁じられていて、早朝の雰囲気と相まってとても荘厳な雰囲気が漂っていました。

御廟の儀式は、お願いすれば座ってその様子を見させてもらうことができます。お経を読むところから始まって、お供え物を献上し・・・と、毎日毎日1200年もの間(!)雨の日も風の日も毎日行われてきているというこの儀式。私なんかがここにいていいのだろうか?とおののきながら座らせてもらっていましたが、希望すれば誰でも見られるそうなので、チャンスがあれば是非早起きして、朝30分ウォーキングして体験してみてもらいたいです。御廟の横にある灯籠がものすごい数陳列されているお堂も、なんとも不思議で荘厳な雰囲気。外国人でなくてもファンタスティック!と言いたくなるような、幻想的な場所です。


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朝の奥の院。この奥に御廟があり、そこから先は撮影禁止です。

そしてもうひとつ、高野山に行ったら外せないのが、金剛峯寺の存在。
金剛峯寺は、1131年建立、現在の本殿は1863年に再建された高野山真言宗の総本山です。金剛峯寺での見どころはいくつかありますが、ひとつにはこの石庭(蟠龍庭)です。こちらは新別殿とともに作られた現代(1984年)のお庭ですが、石庭としては日本最大で、迫力があります。また、阿字観という瞑想や写経を体験できるなど、仏教を身近に感じられる仕掛けがあるのも面白いです。

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また、今は日本全国どこでも「ゆるキャラブーム」ですが、ここ高野山も例外ではありません。とにかくどこにでも居ます、高野山のゆるキャラ「こうやくん」。でも結構かわいいから許せる?(笑)。こちらは、実は再来年2015年、高野山開創1200年記念大法会のイメージキャラクターで、2015年4月2日~5月21日の50日間にわたって執り行われる大法会までは、高野山のありとあらゆるところで見かけることができるはずです。

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ほーらこんなところにもね!



 高野山への行き方・プチ情報

 高野山へは、空路だと関西空港から和歌山市経由で高野口、または大阪空港から
 南海なんば駅、南海高野線に乗って約1時間半。鉄道でも難波駅からの特急・急行
 が便利です。 高野山観光協会
 
 高野山での楽しみのひとつが、精進料理のひとつであるごま豆腐。老舗の濱田屋
 さんではお持ち帰りだけでなく、店内でつくりたてを食べることもできます。
 わさび醤油か和三盆糖を選べますが、どっちも捨てがたい魅力!です☆