記念すべき?第20回の超私的聖地巡礼は、神奈川県三浦半島最南端に浮かぶ「城ヶ島」をご紹介します。浮かぶと言っても、実はこの島、城ヶ島大橋という橋で三浦半島・三崎と繋がっていますので、島に渡ったという実感はありません。しかしながらこの島、歩くとやっぱり「島」なんだなーって思えるような、ダイナミックな光景が広がっているのです。

東西幅約1.8 km、南北幅約0.6kmと東西に細長い菱形の地形が特徴的なこの島。神奈川県にある島の中では最大のもので、鎌倉時代から風光明媚な名所として知られていたそう。また、大正時代、北原白秋の『城ヶ島の雨』という歌が大人気となり、その後、戦後昭和40年代あたりまでは、本当に一大観光地としてそれはそれはにぎわっていたそうな・・・。

でも、今は、(もちろん今も風光明媚だし観光地なんですが)その面影をなんとなく感じつつ、どちらかというと鄙びた風情が印象的な、そんな場所だったりします。そして私はそういうちょっとアンニュイな雰囲気の場所が、とても好きなのです。

城ヶ島の魅力はいろいろありますが、一番凄いなと思うのが、東京都心から1時間半ほどしかかからない場所なのに、ものすごく「秘境感」と「ダイナミックさ」を感じる風景があること。

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海岸から崖の上を見上げるとこんな感じ

この写真だと、スケール感がわかりにくいですが、かなりの高低差がある崖があります。南岸の海からは伊豆諸島が見えることも多く、さらに赤羽根崎より東側は海食崖が発達しているので簡単に近づけないほど。その険しい崖のおかげでウミウ、ヒメウ、クロサギの繁殖地となっていて、城ヶ島を巡る観光船(小さな漁船で30分くらいで断崖絶壁などを見せてくれる)で近づくと、本当にたくさんの鳥たちが繁殖のため崖にくっつくようにいるのが見られます。
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断崖絶壁の城ヶ島南岸

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切り立った崖の上から浸食で出来た入り組んだ海岸を望む。

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冬の澄んだ空気の日に見た夕焼け空。
右に見えるのが伊豆半島。左のほうに見えるのが伊豆大島

島には、灯台がいくつかあって、中でもこの城ヶ島灯台は、背丈は小さいものの、崖の上に建っているので、海上からの存在感は抜群。相模湾西岸を航行する船にとってはなくてはならない道標となっているのでしょう。そして、昔から灯台っていうのは何故か観光地になっていることが多く、その風情がなんとも・・・昭和というかなんというか・・・。

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城ヶ島灯台


そう、こんな感じの売店や、
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道を歩くと猫が出迎えてくれたりするところがなんとも「島」っぽい。

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島の内部はのんびり歩いて1時間くらいかな?これは城ヶ島公園へ向かうためのコース案内なのですが、なんかひらがなで書いてあって超かわいい。そういう素朴なよさ、みたいなものがこの島にはたくさん残されている気がするのです。なんとはなしに懐かしい気分になるというか。

昼間のハイキングやお散歩、ピクニックがてら訪問するのもとても楽しい城ヶ島ですが、この島に少しだけ長くいると、その良さが更におもしろいものになるかもしれません。人気のなくなった島を散歩すると・・・・。とにかく真っ暗。怖い位の暗闇が待っています。月夜には、その月の明るさがとてもよくわかるほど島には灯りが少ない。その風情がなんともまた・・・。城ヶ島には、城ヶ島京急ホテルをはじめとした宿泊施設も数軒あるので、東京圏内から余裕で日帰りできる近さのここに敢えて宿泊するのも面白いアイデアだと思います。

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島の南部にある小さな安房灯台が光るとなんとなくホッとする。遠くに見える灯りは千葉・房総半島。

城ヶ島、そして対岸の三崎には今、面白いお店が増えています。
こちらは城ヶ島つるやプロジェクトのイベントの様子。
城ヶ島つるやプロジェクトは、城ヶ島の古びた食堂をリノベーションした地域のコミュニティースペース。いろんな試みがここから発信されようとしています。

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映画上映やイベントカフェなどを企画。

また、対岸の三崎は、三崎朝市や大きな産直市場が有名ですが、その先にひっそりと佇む三崎銀座商店街近辺に、今なにやら面白い動きが続々と。詳細は是非ご自分の目で確かめてもらいたいです!他にも面白いお店がじわりじわりと出来つつある三崎。城ヶ島探検のあとのほっと一息に是非どうぞ!

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雀家って?



 城ヶ島への行き方とおススメメモ

 城ヶ島へはクルマが便利ですが、電車とバスを乗り継いで行くのも風情があって
 おすすめ。その場合は京急「三崎口」駅から城ヶ島行きのバスで約20分。
 
 また、もうひとつ「三崎口」駅からバス「三崎」行きに乗り、そこから城ヶ島への
 連絡船「白秋号」に乗っていくのが最高にステキです。城ヶ島サイドからの帰りは
 なんと「インターホンで呼び出す」仕組み。 詳細はこちら
 
 三崎の町と城ヶ島の両方を楽しむにはこれが一番!たった5分の船旅ですが、
 なんともいえない風情が漂います。