神奈川県三浦半島には、いくつかの灯台があります。
世の中にはいろいろなマニアというのがいますが、灯台好き・灯台マニアも世界各国に存在するのだそう。灯台はだいたい人気の少ない島や岬の先端にあって、(もちろんそれは役割として当然のことなのですが)ある種の旅情や郷愁をかきたてるものなのでしょう。言わずと知れた私もそんなひなびた景色、灯台が大好きです。自転車やバイクで走っているときの目的地が、岬の先端にある灯台ってこともよくあります。

神奈川県三浦半島で一番有名な灯台はおそらく観音崎灯台でしょう。日本で最初に出来た洋式灯台で、日本の灯台50選にも選ばれているほど。それに比べて今回紹介する諸磯埼灯台は、あまりガイドブックにも掲載されていない秘められた灯台といえるかも。

それもそのはず、この灯台は初灯が昭和44年と、灯台としてはかなり新しい部類、無人の灯台で、外周もそれほど大きくありません。しかし、この四角い形状と背の高さは、日本の灯台の中でも珍しいもの。釣り人と犬の散歩以外に通る人がいないような道を過ぎ、崖の上に建つ別荘を横目に見ながら歩いて広がるのがこの景色。

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なんだか異国のよう。イギリスの荒涼とした大地から大西洋を眺めているところ、とか言われると、そうかもしれないと思ってしまうような不思議な感覚がここにはあります。きつね浜ともいわれるこの場所で、お気に入りの充麦パンを食べながら過ごす時間は至福のひととき。


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そしてもうひとつ、この近くに不思議な神社があります。この灯台にたどりつく手前にある小さな神社、諸磯神明社。その本堂の左横に小さな神社が併設されています。それが若宮神社(小桜姫神社)です。この神社は、室町時代に実際に生きたお姫様を祀った神社なのですが、その方が霊媒となってこの世に降りてきて書かれたという不思議な物語があるのです。小桜姫物語―霊界通信(現代語訳バージョンはこちら)というその本が、死後の世界を語ったものとして、スピリチュアル界では知られており、そのためか、時々この神社にだけお参りに来る人も。とはいっても私が行ったときにここで参拝している人に会ったことなど一度もないほど、本当にひっそりとした小さな神社なのですが。

私の尊敬する友人もときおりここに参拝に来て、日がな過ごし、いろいろなメッセージを受け取ることもあるそうです。私は残念ながらそのような能力はないのですが、でもいつもこの神社、キレイに整えられていて、小桜姫神社にはお花が飾られていることも多く、神社の近くにはいつも猫が数匹いて、目の前の海では漁船がゆらゆら揺れていて、と諸磯崎灯台とあわせて、やはり何か神聖なものがここにはある、と思う場所なのです。

交通手段が電車とバス、しかもバスの本数がとても少ないところなので、なかなか行く機会がないかもしれませんが、三崎のまぐろを食べるついでに、三浦半島の隠れた聖地、是非訪ねてみてください。なにか別の次元を生きているような、不思議な気持ちになれるかもしれません。


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1年に2回、富士山の上に夕陽が落ちる「ダイヤモンド富士」が見られる

 
 場所 
 諸磯神明社 三浦市三崎町諸磯1872
 京急三崎口駅より浜諸磯行きバスにて終点下車。(1時間に1本くらい)
 バス停前にある名前が書いてない鳥居の奥が諸磯神明社です。
 浜諸磯灯台へは神社の右横にある細い道をそのまままっすぐ進み、突き当たり左手。
 バス停より歩いて7分くらい。公共駐車スペースはありません。