この私的聖地巡礼シリーズ、ここ数回島ばかりですが、狙ったわけではありません。
もともと島好きの私なので、そうなるのは自明の理ではありますが・・・。

というわけで、今回ご紹介するのは、御蔵島(みくらじま、と読みます)。
知ってる人には超有名。知らない人は読み方すらわからない、という不思議な島です。

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御蔵島全貌

何で有名か、というと、この島、世界でも稀有な野生のイルカと泳げる島、だから。
水族館で飼われているイルカちゃんと、一緒に泳いだりタッチしたり、乗ったり!?
できるのはよく知られていますが、野生の生物と、危害も加えたり加えられたりせずに
コミュニケーションできるのは、本当に珍しく、世界中でも野生のイルカと泳げる
ようになった地域はたった数カ所だけ。

東京・浜松町から近い竹芝桟橋から夜行の客船に乗って、早朝5時過ぎ、
船は御蔵島に到着します。いや、到着するときはしますが、しないときもあります。
その場合は御蔵島を目の前にしてスルーして船は次の目的地へと向かってしまうのです。

実はこの島、平地が少なく、お椀にご飯をひっくり返したみたいなカタチをしています。
なので、風や波よけになるよい港がなく、海が荒れると着岸できない、という
スリル満点の島なのです。


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無事着岸した船「かめりあ丸」

冬場は海が荒れやすいので、なかなか船が着かず、島の村全体で冷凍倉庫みたいなものを
持っていたりします。住人も200名前後、本当に平地が少なくて、山の斜面にへばりつく
みたいに住宅や店があります。

ただ、その環境がイルカにとってはよかったのですね。



人が少なく、ちゃんとした港がないので、漁船も少ない御蔵島。
また、斜面が多く海岸近くには人が住めない。
そうすると、島の外周の浅瀬には人が来ない→イルカにとっては好都合。

浅瀬には、イルカの天敵であるサメが少なく、魚もいて、
子育てするには抜群の環境だったようなのです。

御蔵島でドルフィンスイムと言われる野生のイルカと泳ぐツアーが
行われるようになったのは15年ほど前からのこと。
私が初めて御蔵島に行ったのが2002年。ほんとにな~んもない島でした。
今は少しだけ若者が入り、ジェラート屋さんやおみやげ屋さんなんて
のが出来ましたが、基本的には、田舎の離島。

島に着いて、ドルフィンスイムツアーをしている漁船に乗せてもらい、
イルカを探しながら島をぐるりと廻っていると、いました!イルカ!

早速用意をして、海に入ります。
イルカを見つけてから、用意をして海に入るまでは、スピード勝負!
素早くスタンバイしないと、イルカの泳ぎが素早すぎて、
サササーッと泳ぎさってしまいます。


野生のイルカだから超気まぐれ。
機嫌がいいときはこちらの泳ぎにつきあってくれて、一緒にくるくる
廻ってくれたりもしますが、ねむーい、やる気なーいってときも多々あります。

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イルカとともにダンス。海面から空が見える


でも、それがいいんです。

イルカが癒しの存在、なんてよくいいますが、
彼らを見ていると、本当に「あるがまま」。
子供同士はしゃいでいたり、子育て中のママは人間を警戒するし、
眠い時はスルーだし。遠慮とか気遣いとか全然なし。

ああ、そうだよね、それでいいんだよね。

なんとなく、自分の在り方すらも、それでいいんだ、って
思えてくるのです。

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御蔵島での過ごし方は、そんな海でのドルフィンスイムと
ガイドさんと一緒に巨大なシイの木がある森へと入ること。
素晴らしい森があるからこそ、イルカが住む素晴らしい海がそこにはあります。
その森の中には、たくさんの野鳥がいて、バードウォッチングの島としても
有名なのだそうです。

都内の雑踏から、夜10時に旅立って、早朝にはこんな別世界。
着岸するかしないか、着いても帰れないかもしれない、
そんな予定が立たないスリル満点な島、御蔵島。

海と森。その圧倒的な大自然。
クルマもほとんど走ってないので、騒音もなく、
いつまでも時間が止まったような感覚。

そんな別世界が、東京都だなんて、日本という国は
まだまだ捨てたもんじゃないな〜なんて思います。

なんだかちょっと疲れちゃったな・・・と思っている方。
ちょっぴり余裕をもたせたスケジュールと天気図を睨みつつ・・・
自然と共存する島、御蔵島へぜひ一度行ってみてください。
きっと、あなたの中に新しい風が吹くと思いますよ。

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御蔵島の集落全貌 斜面にぴったり寄り添ってる

 御蔵島へのアクセス&オススメ

 一般的な行き方やドルフィンスイムについては観光協会がやっている
 みくらじま観光案内所サイトを読んでみてください。
 島は坂が多いから自転車禁止!とかキャンプダメとか、いろいろ
 制限はありますが、いじわるしてるわけじゃなくて、行けば納得。
 そりゃダメだわな・・・と思えるワイルドな島です。
 基本的には夜行の船で行く御蔵島ですが、大島や三宅島まで行って
 そこから船やヘリコプターで入る、という特殊ルートもあります。

 御蔵島に新しく出来たジェラートの店(ふくまる商店)もオススメですが、
 島に行って一番やってもらいたいのは、ヘリポートでの星空観察!
 天気がいい日は最高なので是非寝転がって星を飽きるまで見る贅沢を
 味わってみてくださいね。

 ちなみに個人的にはドルフィン船は、加藤さんがやってる海豚人丸
 お気に入りです(^^)