第10回めとなるこの連載、今回はどこにするかしばし考え、決めたのが
ここ、小笠原諸島。他にもいいところいっぱいあるのだけれど、
写真がたくさん残ってる場所じゃないと、紹介しづらくて・・・。

昨年、世界遺産に指定された東京都・小笠原諸島。
東京湾を離れること1000km,25時間半おがさわら丸に乗ってようやく
たどり着く楽園の島。

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父島の南にある「南島」1日に入れる人数に制限がある無人島で、
砂浜には無数のカタツムリの化石(!)が (※写真はすべてクリックで拡大します)


父島、母島の有人島以外に、聟島列島(むこじま・ケータともいう)、嫁島、兄島、弟島
などなど、家族にちなんだ名前の島がたくさんあります。
小笠原諸島から更に数百キロ沖に、硫黄島があり、小笠原も太平洋戦争時には
戦地となり、今でも多数の砲弾や沈没した軍艦が残されているのです。
ジャングルを歩くと、そうした戦跡に出会えるので、最近はそうしたものに
焦点を当てたウォーキングツアーなんてのもあるらしく。

戦後、この島はアメリカに没収され、昭和43年まで、日本人は帰還することを
許されなかった。あまりにも長い期間だったため、日本に返されたときに、
戻ってきた島の住人は少なく、そして、20年近くアメリカ領だったため、
島の中はなんとなく外国チックでもあります。

今、島に住んでいる人たちは、新島民などと言われ、そのほとんどが、
小笠原の魅力にとりつかれ、返還後に移住してきた人なのだそう。

小笠原の魅力って、ひとことでは語れないけれど、
島を訪れる人、島に住んでいる人が、みんなみんな、島を愛している
っていうのがわかるところが、その魅力のひとつだったので、
今後もずっとそういう感じであればいいなあ〜と思うけれど、
どうなのかな・・・・。

ともあれ、小笠原の魅力は、その自然の凄さ。
海も陸も、とにかくスケールが大きいのです。

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太平洋のどまんなかの外洋。だからこんな穏やかな波のない日はめったにない!

初めてこの地を訪れたのがちょうど10年前、2002年の秋。
この自然とともに過ごした2航海(12日間)の旅が、
私の今のはじまりだった、ともいえるかもしれません。

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大好きなウメイロモドキの群れ

何か、特別なものがこの島にはある。そんな風にも思うほど。
島に行くためには、予算も時間も必要なので、
相当覚悟して行く必要があって、そんなこともあって
ここ数年は、島に行けていないけれど、

でも、目を閉じるだけで、あの海の蒼さや、
さまざまな魚の群れや、壮大な夕陽とそこにいる人たちの
あったかさを思い出します。

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わたしは、ここで生きている。
この地球に生きている
そんな、スケールの大きいことを思わせる
大自然、それが小笠原の最大の魅力だと、私は思っています。

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今は歩いてたどり着けない(以前は徒歩2時間半かけたら行けた)ジニービーチ
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海に雲の影がうつってる

小笠原で初めて体験したもの、それは野生のイルカと泳ぐドルフィンスイム。
御蔵島でのドルフィンスイムはこの小笠原での体験があって、それでハマリまくって
あちこち出かけるようになってから、行った島なので、ここが原点。

小笠原でのドルフィンスイムとそのツアーが素晴らしいなと思うのは、
イルカと泳ぐ、以外の魅力がたくさんあること。
無人島を探検しながら歩いたり、イルカだけじゃなく、マンタやジンベイザメまで
クルーズ中に見つけることがあったりします。

そして、休憩中に船の上で食べるお弁当やお味噌汁の味が妙に忘れがたかったり。

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クルーズ用の船に乗って、みんなでイルカを探しながら航海。
見えるのは一面、海だけ。波しか見えない、そんな中でイルカの集団をみつけたときは
それはそれは感激!最初は、そんなの見つかるわけないでしょー波とイルカの背ビレの
見分けなんてつくわけないって思ってたけど、案外慣れるとわかってくるものなんですね。

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イルカ、見えます?

こんな海のどまんなかで、「はいどうぞ〜」って言われて、おそるおそる海の中に
入ったら、イルカがどーんと出てきてこんにちは!と。
とはいえ、最初は全然泳ぎが速いイルカの姿なんて見つけることなんて
できませんでした。

見ても、だいたい後ろ姿だけ。
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あー行っちゃった・・・

最初の頃は、興奮して写真なんて撮れなかったし、撮ってあとで見てみたら、
青い水しか写ってなかった、なんてことばかり。
イルカが前方から泳いでくるのを、水中で待って撮るなんて芸当は、
1年くらい練習したり、かなりの回数ドルフィンスイムをして、ようやく
なんとなく、まあまあかな、って感じのものが撮れる程度なので、本当に難しいです。

それに、イルカと泳いでる瞬間は、こっちも楽しいので、撮影するより
遊ぶほうを優先したいし、でも撮りたいし・・・とジレンマだったり。

そんな小笠原だけれど、欠点もあります。
それは、大自然だからこその天候。

私は、島で2回台風直撃に遭っていて、
そんな時は結構悲惨で、一番ひどいときには、宿全体を外から養生するので、
窓も全部木で打ち付けられて、外も見えない、もちろん外にも出られない状態。
アルコールを買い込んで、宿の人たちと酒盛りするぐらいしかすることがなく(笑)。

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台風が過ぎて1日後の海。荒れまくって、人間も風で吹き飛ばされそうなほど

けれど、天気がよければ、素晴らしい夕陽と海が待っている。
その落差というか、自然に寄り添わざるを得ない感じが、また魅力なのかもしれません。

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同じ場所からの夕陽

スキューバダイビングで海に潜ると、また面白い光景に出会えます。
私はドルフィンスイムメインなので、あまり島でスキューバダイビングは
していないのだけれど、一度だけ1泊ダイブクルーズというのに
参加したことがあって、そこではいろんな大物の群れに出会って、超興奮!!

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カスミアジ?の群れ

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どアップ

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ウメイロちゃん

そして、楽しく夢のような日々を過ごした最後は、お別れの時間。
みんな一斉におがさわら丸で、一路東京湾を目指します。
その船の別れのシーンがまたとてもとても印象的、なのです。

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おがさわら丸の出入りで島の生活が決まってくるので、島民総出で
出迎えやお見送りをしてくれるのだけれど、出航後、二見湾を出るまで
多くの船がお見送りのために船を出して追いかけてくれるんです!

そして、そのうちの何隻かは、船から人がダイビングジャンプして
海へと飛び込み、海の上から手を振ってくれる。

その光景を見ると、ああ、また小笠原に戻ってこよう、と思うのです。

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海にちゃぽっと入るとササヨがお出迎え。だんだん当たり前過ぎて驚かなくなる贅沢・・・


 小笠原への行き方

 東京・竹芝桟橋からおがさわら丸で25時間半。これしか方法はありません。
 船に弱い方は厳しいかもしれませんが、考えようによっては、飛行機より全然ラクです。
 だって動けるし、横になって寝られるし。
 ただ、最近は人気で、満員近い人数で航行してるそうなので、そうなると結構
 難民船に近いものがあるらしい・・・ 小笠原海運のサイトを参考に、
 スケジュールをたててくださいね。(だいたい週に1,2便なので)

 今が旬でもある小笠原諸島、私が好きなのは秋。
 水も温かく、人は多くなく。冬〜春は海が荒れるので、ザトウクジラを
 見たい人以外は最初はオススメしないかな。

 父島は、案外都会なので、飲み屋などもそれなりにあります。
 より大自然の何にもなさを体験したい方は、母島へGO!
 スズメみたいにいる天然記念物メグロがお出迎えしてくれますよ。