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2011年8月のletter 一覧

2011年8月の往復書簡~静かな決意




 私たちは「無常」という移ろいゆく儚い世界に生きています。
 大きな自然の前では、人は時として無力です。
 そのような儚さの認識は、日本文化の基本的イデアの一つになっています。
 しかしそれと同時に、そのような危機に満ちた儚い世界にありながら、
 それでもなお生き生きと生き続けることへの静かな決意、
 そういった前向きの精神性も私たちには備わっているはずです。

 ー村上春樹 「カタルーニャ国際賞受賞スピーチ」



Dear ゆうこりん

私たちは、この時代を選んで生まれてきたんだよね。
そして、どの時代においても、私たちは幸せに生きたいと思っているはず。
私たち人間には、避けられないことがある。
地球上で起こる自然現象は、私たちの人智を超えているから。

けれど、私たちは弱いようで強い。
どこに意識の焦点を当てて生きるかで、
私たちは、どんな風にも変わってゆくことができるのだと、
提言と同時に、そう信じたいという祈りにつうずる感覚も受け取ったよ。


「それでもなお生き生きと生き続けることへの静かな決意」。
そう、すべては決意から始まるんだ。

生き生きと生きたい!と、願うのは簡単。
でも、そこには、常にそういう生き生きとした自分で存在し続けるんだという、
静かな意思ってものが、根底にあるからそのように存在できるのだと思う。

世の中で成功者といわれている人たちや、
生き生きと生きているなぁと感じられる人たちは、
自分の心に正直な生き方を選び続けているはずなんだ。

どんな時代にあっても、どんな状況にあっても、
果敢に自分が喜びと感じる方向へ向かっていく勇気。
その勇気こそが、いま私たちに必要な精神性なのかもしれないとさえ思う。

そう思うと、自分の人生において、私は勇敢であり続けたい。
私しか感じ得ない私の人生を、果敢に創造してゆこうと思う。
きっとそれが、私たちが選んだ生き方だね。

ゆうこりんは、この村上春樹さんの言葉を受けて、何を感じる?

From ひろかっち
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  誰にでも風景の記憶というものがあります。
  一生懸命思い出せばきりがないほど、たくさんの風景が頭の中に甦ってくる
  と思います。でも、自分の記憶の中でもモニュメンタルなものとなると
  そう多くはないような気がします。

  そしてその多くが特別な体験や出来事となると思いますが、
  そんなこととはまったく関係なく、いつもその場所や風景に心を惹かれ、
  いつまでもその記憶が自分の気持ちの裏側にあり、
  まるで聖地を眺めていたかのような印象を心の奥に残している
  ということもあります。


  永井宏 ー寂れた街のカフェに置いてあった
      もう絶版かもしれない本の一節より





Dear ひろかっち

なんてことない景色なのに何故か覚えている風景、時間。
きっと誰にでもそういう極めて個人的な風景というものがあるんじゃないかな。

私が今でも覚えている風景の記憶。

それは、大学の卒業旅行でニュージーランドに行ったときのこと。
友人2人に新しくマウンテンバイクを買わせ、女子3人でMTBを海外まで持参し、
移動手段としてではなく、あくまで散歩ツーリング手段として自転車に乗るという
ちょっと冒険な3週間の旅。

ニュージーランド南島、クライストチャーチからダニーデン、クィーンズタウンと訪れ、
旅も後半になった、テ・アナウという小さな湖畔の町の周辺を
のんびりと走らせていたときのこと。

その日は私たちのツーリング距離としてはやや長い30km近くを
走る予定だったから、お互い自由な速度で、人よりも断然多い羊の群れを
横目に見ながらのんびりと自転車を漕いでいて。

道の遠くに友人の自転車の影が見えるだけで、あたりに人工的なものは何もなく。
ただ巨大なロールケーキみたいな牧草のロールが草原のあちこちに並んでいる中、
自転車のホイールがシャーっていう音だけが聴こえる中、自転車を走らせ続ける。

風は心地よく、天気もよくて、どこまでも平和で穏やかで。

とそのとき、ふと急に私は、「ああ、この景色、絶対忘れないでいよう。
決して忘れることはないだろう」と思ったんだ。

とりたてて印象的な事件があったわけでもない、圧倒的に美しい景色だったわけでもない。
けれど、何故か急に、そんな気持ちが沸き起こった。ああ、この瞬間を、
この景色の中のこの記憶を絶対に忘れないでいようって。

そんな風になにかの景色を見て思ったのは初めてのことだったように思う。

nz01.jpg
おそらくそう思った瞬間に自転車を止めて撮った写真

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DOORSーこころのドアを開く旅。

About

DOORS連載・それぞれの人生で心に響く言葉を題材に ふたりで交わす愛いっぱいの公開レター 気づきの往復書簡。

キラキラわくわく。時に深遠に。 そこには人生の気づきがてんこ盛り!

登場人物

ひろかっち
人生は魂の旅! たまに天然炸裂の 旅大好きセラピスト

プロフィール詳細

ゆうこりんは、旅と遊びの先輩。 そして、思いを深く分かちあえる人。

ゆうこりん
人生を旅のように生きるがモットーの 旅人ボディセラピスト。

プロフィール詳細

ヒロカッチは、遊びの中で人生の深みを 感じ、共に体験し笑いあえる人。

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