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「ひろかちゃん、お時間あるとき、スカイプ(ネット無料電話)しませんか?」。

2010年5月、半年前に知り合ったばかりの友人から突然もらった一本のメール。
そのときは、まだ、自分の人生に「瀧行」(たきぎょう)なるものが、
こんなに何度も組み込まれることになるとは、まったく思いもしなかった。

ましてや、この旅が、「こころのドアを開く旅。DOORSドアーズ」につながろうとは。

宇宙のすることは、本当にワンダー(神秘と不思議、感動)に、満ち溢れている。


今日は、そのときの話から始めよう。
ドアーズのパートナーメンバーである、長野在住のうーみんさん(男性)と、
何時間にもおよぶスカイプをしたある日。
なぜか、滝行の話になった。

・・・。

滝?瀧?!
彼は、滝を「瀧」と言う。
サンズイに、龍(りゅう)という字を使うのだ。

水音は、天にも昇る龍のごとく。
「瀧」と聞いただけで、自分の中の何かが呼び覚まされ、
その瀧に惹かれる自分を感じた。

さらに彼は、
「誰しもが自分自身の中に龍を持っていると思う。
それは、その人の本音であり、生きようと思う道でもあるのではないか」と話した。

その一言が、私を突き動かしたのは言うまでもない。

そして、彼が長野で瀧行を行う瀧は、
不動明王の御神体そのものであるというではないか。

沸き起こる衝動。
私を戸隠と瀧行を求めて長野に向かわせるには、もうそれだけで十分だった。

・・・。

というのは、美しく描いてみた、ふたりのやり取り(笑)
実際にこんなことを話したのは、行くことを決めたあとだったように思う。

そう。
私が、戸隠と瀧行の旅を決めたのは、わくわくした直感オンリー。
理由づけなんて、なんにもなかった。
彼が何気なく口にした、瀧行の話。
皆神神社の御神前に泊めていただけるという特異なご縁。
百回以上参っている戸隠神社と合わせて巡る旅をしたいという思い。

こんなスペシャルな旅、なかなかできない!
行きた〜い!!キラ〜ン!!

普通なら流してしまいそうな、数十秒の会話に、
食いついたのは、いうまでもない。

「私、行くよ!せっかくだから、お客さんや生徒さん、ブログで声をかけてみるよ。
もしかしたら、誰か一緒に行く!っていう人が現れて、旅ツアーになるかもしれない。
誰も来なくても、私はひとりで行くからさ!」。
何も考えず、そう口走っていた。

私の反応に驚くうーみんさんをよそに、
そのとき、なぜか私は絶対、参加者は何人か集まる!と確信していて、
胸のなかは、わくわくとドキドキに溢れていた。

案の定、5人の旅の仲間が集結。
そして、実現したのが、
「お社に泊まる瀧行&戸隠ワンダーツアー」だ。

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壮大な景観が美しい米子大瀑布(長野市)


私の人生において、滝といえば、眺めるものだった。
滝行とは、修行僧のやることだとばかり思っていた。
長野行きを決めたのは、お得意の好奇心の賜物にすぎない。

それでも私の魂は、どこかで、もういらない何かを流すことを望んでいたのかもしれない。

人生初めての瀧行の前日は、関東も長野も大嵐だった。
参加予定のひとりは、熱で来られなくなった。
二人は、泊まらずして当日帰るという。
最後まで、誰が参加するのかわからない、
どんな展開になるのかわからない、
何を感じるのかわからない、
まさしく驚き満点のワンダーツアー。

当日は、雨が降ったりやんだり。
あたりは、信州の山々に、霧がたちこめる幻想的な世界。
その美しさとは裏腹に、交通規制もしかれており、
果たして瀧まで辿り着けるのか?!との懸念もよぎる。

しかし、すべてをゆだねる旅の強み。
ゆけるなら、ゆける。
みんなの思いを、天は、お見通しのようだ。
図ったかのように、雲が晴れ、
瀧へ向かう通行止めも奇跡的に解除。
道先案内人のように、省庁の管理人に、
一足先に「通行可」サインも出してもらえるラッキーな立ち回り。

この日の天気は、まさに「龍神」のようだと参加者のひとりがつぶやく。
私たちは、これから、その瀧で心身を清めさせていただく。

うーみんさんを先導に、般若心経を唱え、
それぞれの歩みで、瀧にはいってゆく。

落差85メートルの不動滝。
その姿は、まさに龍のごとく。

何度も瀧行を経験しているうーみんさんが、
こんな水量と水圧の日は、初めてだったと言うくらい、
相当のものだった。

私は、ただひたすらに前だけを見て進み、
瀧のなかに身をおいた。
参加のだれかを気遣う余裕もなく、
ただただ、瀧に打たれた。

総計、この年は、5回の瀧行ツアーを行った。

爽快に晴れ渡り、壮大な景観を眺めながら、
気持ちよく打たれた日もあった。

寒さの中、気を引き締めながら、
一点だけを見つめた日もあった。


瀧に打たれて、私のなかの何が変わったのだろう?

はっきり言って、わからない。
けれど、ひとつだけ言えることは、
私は、前よりも自由に人生を生き始めたということだ。

自分を見つめる生き方をしてきたと思っていた自分が、
身ぐるみ剥がされるような感覚を味わい、
弱くもあり強くもある、ありのままの自分を本当に感じ始めることができたのも、
この瀧行のあとからだ。


なにより、この旅は、
いつからか心に描いていた夢が実現した日でもあった。

奇跡に溢れている旅を一緒に体験したい。
いま、旅で、人生で、感じていることを思い切り分かち合いたい。
旅そのものがワークショップやセッションになるような旅をしたい。

笑って、時には泣いて、笑って、笑って。
最高の旅だったね!
と、人生の宝になるような旅を、縁あるだれかと一緒にしたい。

「こころのドアを開く旅」で感じた「旅以上の何か」は、
私が生きるなかで、何度も何度も私を勇気づけ、パワーの源となってくれたから。

人生は、魂の旅だから。
旅でのミラクルは、人生でのミラクルだもの。

そんな思いを叶えてくれたのは、「瀧」だった。

瀧がつないでくれた、ご縁の数々。
もうそれを感じるだけで、私のワンダー体験記だ!

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翌年、6回目の瀧行の姿。何度、打たれても凛とした気持ちになる。