物事を完成させる、という尊い術とともに、手を付けずに放っておく、という
 尊い術がある。人生の知恵の本質は、不必要なものを取り除くことにあるのだ。              
                            -リン・ユータン



Dear ひろかっち

今回は、ちょっと実用的であり、哲学的でもあるこんな言葉を選んでみたよ。

何かを完成させるように動くことと、必要ないと手を付けないでおくこと。
この矛盾するような2つのことを分けるのは何かというと、
結局のところ、「今の自分にとって何が大切かを正確に知る」ことなのかな
と思ったんだ。

しかしそれがなかなかに難しい。
上の言葉によると、それこそが、人生の知恵の本質、なのだから。

忙しいっていうのは心を亡くすと書くと言った人がいて、なるほど!と思った
ことがあるのだけれど、とにかくやる事が多くていっぱいいっぱい、なんてとき、
人は何か大切なことを忘れたり、わからなくなったりするのかもしれないな、と
思うんだよね。

そして、困ったことに、だいたいはその忙しいって状態を、意図はしないものの、
人は好んでその状態にさせてしまうのだとも思う。だって忙しくしていると、何も
考えなくてよいのだから。そうして、心を亡くしておいて、「自分は何も考えなく
てよい」っていう状態に甘んじさせているんじゃないかなと思うんだ。

そういう状態が続くと、「今の自分にとって一番大切なこと」が何なのかってこと
が、わからなくなる。わかってしまったら困ると、無意識で思ってるからそうなる
んだろうけど、ふと忙しさの波が抜けて、気づいたときに、「あれ?何か違うぞ」
って思ったりする。

何か物事に取り組むとき、それはその人にとって必要だ、と思ってそれが始まる。
そしてだいたいは、完成させるまでそれに取り組むし、それが尊いことだとされてきた。

けど、今のこの時代、一瞬先は闇、というか、最初に「こうだ」と思ったことが、
あっという間に「全然違う」に変わってしまうような、スピード感が昔とは桁違いの
時代にわたしたちは暮らしている。

そんなとき、最初に決めたことが正しい、今も有効とは限らないこともある。
それに、自分がどんどん変わっていって、全然違う人になっちゃった、ってこともある。

更に、ものごとにはタイミングっていうものがあって、今は必要ないけど、そのうち
絶対に必要になる、とか、これをするのは今じゃないけど、そのうちやってくる、と
いうような予感がする場合もある。

今、必要なこと、必要じゃないこと。

それは自分にしかわからない。そしてそれは、一般的な「重要度」とは全く違う
とても個人的、かつ大切なこと。

仕事を熱心にすることが大事なときもあれば、休息が何よりも大切なこともある。
誰かに何かを伝えることが最優先の場合もあれば、じっと深く瞑想することが大切
なときもある。

それを見極めたり聞き分けたりすることは、簡単なことではないけれど、
できるだけ自分にとっての「今、必要なこと」にフォーカスして、最適なタイミング
で、何かを成し遂げることができたらいいなあ、と私は思っているんだ。

ひろかっちはこれを読んでどう思った?何を感じたかな?