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2012年12月の往復書簡 〜コミュニケーションにおけるすれ違い


 
 


 コミュニケーションにおける、ありとあらゆるすれ違いは、
 相手が自分を犠牲にして快楽を得ているのではないかという妄想に基づいています。              
                        -小池龍之介『考えない練習』



Dear ひろかっち

今回は、ちょっと補足が必要かもしれない、こんな言葉を選んでみたよ。
この文章を書いた小池龍之介さんという方は、東大を出たあと出家してお坊さんになった人で、まだ30代そこそこのさっぱりしたお兄さんという感じの方なんだけど、その人が出した本の中の一説からチョイスした。

この、引用した文章は、相手の話(ここでは恋人が愚痴を言っている、という設定)を聞く際に、その内容だけを受け止めるのではなくて、相手の感情を浮き彫りにして受け止めてあげることが大事だと、言っているんだ。

そのためには、相手の愚痴を言ってるその声を「音」や「スピード」「トーン」といった情報として、より注意深く耳を澄まして意識を集中してみる。そのことによって初めて妄想のラップを突き破り、相手が実際に感じているのは苦しみ以外の何ものでもないということが理解できるようになる、するとようやく、私たちは相手に対して「慈悲」と申すべき、優しい心持ちを形成することが叶う、と言っているんだよね。

想像力が豊かで、感受性の強い私は、この想像力と妄想を自由自在に使いこなす・・・なんてことはできず、気が付けば被害妄想とでもいうべき、「現実には起こっていないのに、勝手に想像して苦しむ」というようなことがあったりする。

この文章の前後の一説に、ー「同じような愚痴を何度も聞かせて、この人は私を利用して快楽を味わっているに違いない」などと怒り、自らの苦をも余計に増やしてしまったりするのですー というのがあるのだけれど、「いや〜ホントそう!」と妙に納得してしまったりして。

ここでは2人の会話、というのが例に挙げられていたけれど、たぶんこれは、自分の中で繰り広げられているありとあらゆる考え事や独り言的な妄想にも当てはまるのかな、と思ったり。
瞑想のひとつのテクニックとして、いろんな考え事が浮かんで浮かんで、どんどん浮かんで来るけれど、それをひとつずつ、受け流していくことで、「無」に近づく、ということが言われているけれど、人は、あらゆる場面において、自分の意識からの情報も含めて、受け取る情報が多すぎて、どんどん自分の想像しやすい(考えグセがある)事項に、勝手に結びつけているのかもしれない。

だから、情報を敢えてシャットダウンするとか、取捨選択して、どこに焦点を当てるか決める、なんてことをやっていくと、そういった自分のためにも、相手のためにもならない、ヘンテコリンな妄想であったり、相手が目の前にいるのに、相手のことが全然わからない、なんてことも減ってくるのかもしれないな〜なんて感じたよ。

ひろかっちはこの言葉を受けて、どんなことを感じたかな?

ゆうこりん


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Comment [1]

Dear  ゆうこりん

う~ん。難しい~。

この問いかけを読んで、なんて返事すればいいか、頭をひねってしまった。

「相手が自分を犠牲にして快楽を得ているのではないか」という発想は、
少なからず、私のなかにはなかったんだよなぁって思う。


普通に、相手がどう思っているんだろう、なんでこの態度なんだろうと、
ゆうこりんのいうように、あることないこと考えて、
自分を傷つけるような妄想をするのは、理解できるし、私もそうしてきた(笑)

論点がずれるのかもしれないけれど、
「この人、私のことを利用して、快楽を得てるんだわ!」って発想まで、
ぶっとんで言ってしまえれば、
それは、それで、そういう支離滅裂な妄想をする自分を、
逆に、笑い飛ばすことができる気もしたよ。


コミュニケーションに置いて、想像力を働かせ、相手を思い図るのは、とても大切なことだけれど、
その想像力が仇になることも多々あると思う。


例えば、好きな彼に、
「今日は、会えない」って言われたとする。

この言葉は、いかようにも、捉えることができる。


「今日は、会えない」って言ったことは、事実。


「今日は、(緊急の仕事があるから)会えない」。
「今日は、(ちょっと疲れているから)会えない」。

どちらの理由だったとしても、この想像までも、事実。


でも、それが、
「今日は、(会おうと思えば会えるけど、君のことは自分の人生において、最優先事項ではないので)、会えない」。
「今日は、(そんなに大事じゃない君に割く時間はないから)、会えない」。

こういう思いを汲んだかのような捉え方になると、
それは、もう妄想だよね。

そして、彼は、私のことは好きじゃないんだ、とか、
彼は、私のことは大切じゃないんだ、とか、
勝手な思い込みから、変な態度に出てみたり、ぎくしゃくしちゃったり。

こうやって、コミュニケーションは、すれ違っていくように思うよ。


これは、妄想に発展していく捉え方の例だったけど、
相手の話を聞くっていう視点に立った時は、本文に書かれていたことが、
とても大切なことだと思うよ。

「相手の話を聞く際に、その内容だけを受け止めるのではなくて、相手の感情を浮き彫りにして受け止めてあげることが大事」。

それが、慈悲であり、愛なんだと思う。


From  ひろかっち

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DOORS連載・それぞれの人生で心に響く言葉を題材に ふたりで交わす愛いっぱいの公開レター 気づきの往復書簡。

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ひろかっち
人生は魂の旅! たまに天然炸裂の 旅大好きセラピスト

プロフィール詳細

ゆうこりんは、旅と遊びの先輩。 そして、思いを深く分かちあえる人。

ゆうこりん
人生を旅のように生きるがモットーの 旅人ボディセラピスト。

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ヒロカッチは、遊びの中で人生の深みを 感じ、共に体験し笑いあえる人。

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