深い魂の旅をしたかのような夜が明け、久高島をでたあとは、本島に戻ってどんどん北上。
途中でフルーツ盛り盛りの美味しいかき氷を食べたり、
ゆうこりんが当時サポートしていたフリーダイビングの世界選手権で使うホテルに、ご挨拶に行ったり、そのどれもが私には、真新しいことだった。
すべてが楽しくて、キラキラしていて、むじゃきにはしゃぐ喜びを全身で感じていた。
なにをどうしたって、罪悪感にしばられて生きてきた私にとって、
この旅は、純粋にただ楽しい!と感じられる素晴らしさを体感するようなものだった。
それまで私は、楽しく遊んでいるときですら、旅行にでたときですら、遊ぶことへの罪悪感をぬぐいさることができなかった。いま思えば滑稽な話だ。
そんな私を解放するかのように、「なんにもしないを、しに行こう!」、
そんな発想から始まった旅だった。
昔ながらのいい味を出している沖縄そば屋でランチをしたり、ちゅら海水族館に立ち寄ったり。
それはもう楽しかった!
稚拙な表現しか浮かばず、ただ、「楽しいね~!!」と繰り返していたように思う。
ちゅら海水族館は、いままで見た水族館のなかでもピカイチ!
巨大水槽の前で、優雅に泳ぐ魚たちを、ただただ見つめていた。
いつまででも佇んでいられるような、美しい光景だった。
そんな場所で、ゆうこりんは、またしても、粋な誘いを仕掛けてきた。
「来月、ダイビング体験をしに行かない?」
こんなに綺麗な水の中で泳ぐ美しい生物たちを目の前にして、断れるわけがない。
今度は、この巨大水槽のような海の中へ、私自身がはいるのか・・・。
いままでの私なら断っていたことだろう。
だって、海はあまり得意なフィールドではなかったのだから。
ゆうこりんは、いつも私がわくわくしたところを狙って、
さらに楽しげな展開を提案してくる。
臆病な私に、ちょっとずつちょっとずつ負荷をかけて、
さらにキラキラした新しい世界へと連れ出してくれるのだ。
このプレゼン能力は、さすがだといつも脱帽の思いだ。
さぁ、そうこうするうちに、今回の旅のメインディッシュ、
ゲストハウス結家(むすびや)さんに、辿り着いた。
ここも、ゆうこりんが何年も前に旅人として訪れていた場所だ。
ゲストハウス。
ドミトリーには、二段ベッドが置いてあって、そのひとつを私の場所に与えられる。
食事は、みんなで一緒にわいわい食べる。
フリースペースでは、いつでも誰かとおしゃべりできる。
個室もあるようだったけれど、私たちは、男女混合のドミトリーに泊まることにした。
(そこが一番安い)
食卓には、それぞれが作った料理がちょうど並んだところだった。
そこには、性別も年齢もバラバラ、境遇も異なる人たちが、たくさん集っていた。
なんだか、わくわくする!この雰囲気!!
どこの誰かも知らない人と、一期一会で出会い、楽しく一緒に過ごす時間。
この世界には、いろんな人がいて、いろんな生き方があって、いろんな感じ方がある。
いままでの私なら出会わなかったであろう人たちに出会って、新たな世界を感じる瞬間。
そういう旅のスタイルが、大好きだ。
大人になったら、もうこんな旅は、できないと思っていた。
日本にも、こんな旅ができる場所があるなんて、知らなかった。
自分の知らなかった世界に一歩足を踏み出す時、またそこから何かが始まる。
この旅により、私の中に眠っていた「可能性」の芽が、目覚め始めたようだった。
ちなみに、この2010年から数年後の今、ゲストハウスは日本全国に広がり始めている。
旅人には、嬉しい展開だ。
今帰仁(なきじん)にある結家さんからの眺め。浜はすぐそこに広がる。