2013年6月、長野県の戸隠&皆神で行う旅型ワークショップツアーを開催した翌朝、DOORSのパートナメンバーであるうーみんに、今回は、こんな風にリクエストした。
毎回、ツアー開催のあと2日間は、旅のシェアリング反省会と慰労会、そして、ロケハン&次回企画会議と称して、プチ旅をするのが恒例になっている。
飯山のほうに緑の綺麗なブナ林があると言ったのは、うーみんにも関わらず、他の場所を提案しまくり決定を渋るので、「そのブナ林方面が気になるから、とにかく、私をそっち方向へ連れて行ってよ!!」と語気を強めた。
それでも、「美味しいお店も思いつかないし・・・」「遠い割に、他になんにもないし・・・」と渋るうーみん。
「参加者のいるツアーじゃないんだから、食べるお店が今から決定していなくても、なんの問題もないよ。何もないならないで、どこかで買って行って、そのブナ林の中でお弁当を食べるとかでも、私は十分満足。とにかく、私は、新緑の木々に触れ合いに行きたいの!!
今日は、お洒落で美味しいレストランよりも、木々を優先したい。
もっと言うなら、むしろお昼を食べられなくてもいいから、木のエネルギーに触れる一日を、今日は選びたい!!だから、私を緑の木がいっぱいある場所へ連れて行って!」。
自分でも、なぜこんなに強くリクエストするほど、長野県の飯山方面へ行きたいと思ったのかは、なぞ。
しかも、この朝のリクエストが、"そっくりそのまま"叶えられることになろうとは?!
誰かに言うことは、宇宙に言うこと。
何かを発することは、「宇宙への宣言」だと思って生きてはいるけれど、宣言したことが叶うスピードの速さに、驚かざるを得ない一日が始まるのだった。
*****
さぁ、今日はどんな旅が始まるのだろう。
朝は、お昼は食べなくてもいい、なければコンビニだっていい!くらいの勢いで緑の木々をリクエストしたけれど、旅といえば、やっぱり食でしょ♪と思っているので、できれば美味しいご当地のお店で食事をしたい。
「ちなみに、本当に、食べ物屋さんは、なんにもないの?どこか一軒くらいはあるんじゃないの?」と、質問を投げかける。
少し車を走らせると、「あ!そういえば、ログハウスのお店で、店主も気さくで美味しい洋食屋さんが一軒ある!」と、思い出したうーみん。
「もしくは、いま向かう方面から、山を下れば、前に話したすんごい素敵なカフェレストランにも行けるよ!」。
ほらね♪人は、問いかければ、なんらかの素敵な答えやアイデアを捻り出せる生き物なんだ。
私は、長野県の飯山についての情報も土地勘もゼロのため、「ここから○○方向へは行けないの?」とか、「こういうお店もないの?」とか、うーみんの脳内をシャッフルするする無茶ブリ質問を投げかけまくるだけ(笑)
とはいえ、同時に、「うーみんに、素敵なインスピレーションを降ろしてくれて、ありがとう!」と宇宙にお願いは、毎度のごとくしている。
だいたいにして、私はよくこの手を使う。
そして、ほぼこのやり方で、自分たちにとって、素晴らしい場所やお店に出会える。
これも、私の旅や日常の楽しみ方のひとつだ。
***
さて、そんな会話をしているうちに、あたりには緑が一面に広がる風景が広がり始めた。
うーみんのおぼろげな記憶を辿り、ブナ林のある場所へ行く道中。
「あ!!素敵な木。立ち寄ろう!!」。
私が言うのと同時に、うーみんもこの木に惹かれたらしく、自然に車を止めていた。
大きな大きなケヤキの木。
その根元には、小さなほこらが建てられていた。
風がそよそよ吹いて、ケヤキの木から木漏れ日が降り注いで、とっても気持ちがいい。
「ここ、なんかいい!!」。
思わず、そう叫んでいた。
なんか、って何だ?!
「気」がいい!ってことなんだけれど、なかなかそれをうまく伝えられる言葉が見つからない。
うーみんが、いつものごとく、般若心経を唱えるというので、
私は、傍らで手を合わせ、こういう素敵な時間を与えてもらったことへの感謝を伝えた。
このあと、目的のブナ林、森林セラピーの称号がついたその場所を散策したのだけれど、
私たちにとっては、なんの表示もない、さっきのケヤキの木があった場所のほうが、
格段気持ちよい場所だった。
それなりに気持ち良いブナ林の中で、わがままな私は、またもこう叫んでいた。
「私をもっともっと、"気"のいい場所へ連れてって!!」
本当に、宇宙は、すぐに願いを叶えてくれる。
この発言が、思いもよらなかった場所へ、私を導いてくれるとは?!
この時点では、まったく想像だにしなかったことだ。
その前に、もう一度、先ほどの「ケヤキの木」のところで一休みしようと、
同じ場所へ立ち寄って、銘々にその空気を感じてみた。
遠目から写真を撮って、びっくり!
「この場所、結界が張られているようだよ!」、また思わず、うーみんに伝える。
ケヤキの木がある小さな敷地の正面には、二本の松の木があり、
まるで鳥居のような役目をしていたのだ。
よく見ると、四方に、木が植えられていた。
守られるように、この巨木はここに生きていたのだ。
なんとも不思議な空間。
トトロが出て来そうだな~なんて、ジブリ作品好きの私は空想を巡らせたりした。
そんな少女みたいな気分とは裏腹に、うーみんと話した内容は、かなり濃厚なものだった。
ドアーズのメンバーとは、普通に話すことが、ワークショップに参加するときのシェアリングみたいになったりする。
思わず泣いてしまったり、怒りや悲しみが溢れ出てきたり。
ビジョンがポンポン飛び出してきたり。
それでも、どんなときも、ドアーズの三人は、それぞれがそれぞれを温かく見守り、励まし、時に叱り、それぞれが本当に望む未来のほうに導きあってきた。
信頼し合っているからこそ、本音を伝え合ってきたし、ありのままの姿でそこにいれたし、
ドアーズの成長は、そのまんま私たち三人の成長だと感じている。
その道中には、それぞれが自分自身を見つめなければ立ち行かないことも多々あり、
その都度、勇気を持って自分を開示してきたのだ。
そして、こころのドアを開く旅。ドアーズというプロジェクトを通して、
私たちは、自分自身の魂を磨いてきたのだ。
少なくとも、私はそんな風に思っている。
そして、そうすることを、旅は助けてきてくれたように思う。
大きなケヤキの木。ケヤキの周りには、清々しい空気が流れていた。
ケヤキの木に手をあて、その鼓動を感じてみる。
大きなケヤキの木の四方には、結界を張るように、松とケヤキの木が立っていた。
***
そんなこんなで、うーみんとひとしきり話したら、
「あ~、お腹すいた!!ご飯食べに行こう!!」と、ケロッと気分が変わっていた。
やっぱり、溜めているものを人に話すって大きなパワーだと感じる。
「ご飯♪ご飯♪」と思っている私に、
うーみんが、「大きなイチョウの木」へ連れて行きたいというので、
昼食前にちょっとだけ立ち寄ることにした。
が、ぬあんと!
このイチョウの木に会いにいく前に、とんだ山登りをする事態が待ち受けていたのだ!!
(続く)
大きなイチョウの木へ向かう途中、うーみんが突然、「小菅神社」について話し始めた。
私がスタッフをしている大好きなアトリエのオーナーは、小菅(こすげ)さんと言う。
その名前が神社名と一緒だったことから、私とご縁があるのではないか気になっていたというのだ。
ただ、この修験道である小菅神社は、本殿までの参道がおそろしく長い。
長い道というより、山登りなのだそうだ。
同じ修験道である長野県の戸隠神社は、杉並木の2キロの参道だけれども、
小菅神社は、それとも比べものにならないくらい、山奥に本殿があるらしいのだ。
一度、訪れたことがあるといううーみんは、いつか私をここへ連れて来たいと思っていた様子。
それなのに、ここに来るまで、一ミリも思い出さなかったというから不思議だ。
もっとも、今朝言われていたら、
「今日は、神社の気分じゃない」といって、断っていた気もするから、
宇宙は、私をここへ連れて来るのに巧妙な作戦をとったものだ。
ブナ林に惹きつけられたものの、本命のブナ林より、
その周辺のものに感銘を受け、今となっては、それらにこそ訪れる意味があったとさえ感じているのだから。
さておき、それでも二人とも、参道を登り参拝までするつもりはなく、
ほんのちょっと、参道の入り口まで行ってみるだけの予定だった。
時刻のほど、13時すぎ。
朝から何も食べておらず、とってもお腹がすいていた私は、
「ログハウスのお店で、ご飯♪ご飯♪」と思っていたのだから。
が、しかし・・・。
小菅神社の参道の入り口に着いた瞬間、
「やられた!!」と思った。
この神々しい雰囲気。この気持ちいいエネルギー。この参道。
本殿まで参ることを、無性にかられるこの心。
でも、ご飯食べたい・・・。
葛藤する私(笑)
ここまで来て、この参拝のタイミングを逃すなんてことを、私がし得ようか?!
空腹だからこそ、この参道を登るには、体の負担が一番少ない。
ある意味、絶好のチャンス。
たじろいでいるところへ、神の一撃?!(笑)
上のほうから、ひょいひょいひょい♪っと、身軽なおじさんが下りてくる。
にこにこ仙人みたいなおじさんだ。
「この参道は素晴らしい。参る価値のある神社だよ。
参道を登っていくだけで、エネルギーをいっぱいもらえるよ!
私の足で、往復1時間ほどだから、ほどなく行って来られる。
さぁ、いってらっしゃい!」。
そう言って、ここちよい風のごとく立ち去ってゆかれた。
そこまで言われたら、腹くくっていくしかないでしょ!
それに、最初から、自分の内側は行きたい!って思っていて、
頭で、お腹すいたって言っているのだから。
内なる声に従わない手はない。
というわけで、えんやこらさっさ♪
長い長い参道を参ることになったのだった。
「しんど~い!!!」
「でも、めっちゃ気持ちいい!!」
この感覚の繰り返し。
なにせ、ここは、「神の道」と名付けられたほどの道。
新緑の緑は美しく、木々は本殿への参拝を祝福するかのように、
優しく私たちを迎え入れてくれた。
うーみんが、「前世のどこかで、俺は、ひろか姫の従者だった気がする」とつぶやいた。
かもね!
きっと、そのときの姫様は、私なんかより、気丈で心優しく、たくしましくしなやかだったに違いない!と、はぁはぁ息を切らしながら思うのだった。
山登りをするつもりで来なかった身には、そして戸隠ツアー開催後で、マックス疲れていた身には、きつい。
でも、すこぶる気持ちいい!!
あぁ、木々の間から、千曲川(ちくまがわ)が遠くに見える。
かつての姫様は、どんな気持ちでここを眺めたのだろう。
なんてことも思ったりしながら、えっほえっほ一歩ずつ登って行った。
朝、叫んだのは、「ご飯を食べるより、木々に触れ合えるところへ連れて行って!」。
ブナ林で、叫んだのは、「もっと"気"のいい場所へ連れて行って!」。
う~ん。
全部、どんぴしゃで叶っている。
宇宙から声が聞こえてくるようだ。
「ん?もっと木々のエネルギーのある場所へ連れていって!っていうから導いたけど、なにか不満かな?」って。
「とんでもございません!!十二分に願いは叶いました。
そして、なんとも気持ちのいい場所です。ありがとうございます!!」。
そんな声を木々に届かせながら、ついに最後まで登ったのだった。
登った先には、最高に美味しいお水が流れ出ていて、かわいた喉を潤してくれた。
山の中にある本殿で、うーみんが突然、大声で宣言すると言い出した。
これからの人生を決定付ける宣言だ。
私は、少し離れたところから、それをそっと見届けた。
ドアーズ三人分の宣言を、ここに込めてくれたようにも感じながら・・・。
***
ひとしきり休んで、さぁ、下ろう!
すたこらサッサ♪
下山したら、とっても元気になっていた。
やっぱり、「神の道」と称されるだけある。
エネルギーをいっぱいもらったようだ。
時間を見ると、2時間が経過。
おじさんより、1時間もオーバー。
でも、あの仙人みたいなおじさんが、「簡単だよ♪」って言わなかったから、
私たちはあきらめていたかもしれないので、誰に指南されるかって大事なことだと思う。
ここが小菅神社の参道入り口。この雰囲気、ここまで来たら、その先に行きたくなる!
「神の道」と称される参道。奥へ奥へと歩みを進める。
長野県内を流れる千曲川を望む。
最後の難関は、鎖を持ってよじ登る。修験者たちは、軽々登ったのだろうか。
やっとたどり着いた本殿。「しょうげんとして、生きる」と宣言するうーみん。
***
さぁ!ご飯!・・・・の前に、大きなイチョウの木。
これまた、それはそれは、鳥居の中にある立派な木だった。
「ようこそ」と迎え入れてくれるような、おおらかで懐のでっかい木だ。
うーみん曰く、「葉が落ちた、冬のイチョウの木が、とてもかっこいい」のだそうだ。
なんだろう・・・。
この木の下にいると、守られている気がしてくる。
帰ろうとしたら、イチョウの木が話しかけてきたように感じた。
「後ろにも回って見て行って!」、と。
そういう声には、従うことにしている。
メッセージを受けとることも仕事に活かしている割に、こういう自然との対話を私は、
どこかでシャットダウンしてきたような気がする。
小さい頃から、木が大好きで、木のそばにいると幸せな気持ちになった。
木がそよそよ風に揺らぐたび、なにか私に話しかけてくれているような気がしていた。
どんなにシーンとしている木も、その鼓動は伝わってきた。
生命のたくましさ。
そして、温かい優しさ。
木を思うだけで、私は幸せな気持ちになる。
それはいまでも変わらない。
大きなイチョウの木の後ろに回ると、くつろげるように丸太が用意されていた。
「一休みしておいきなさい」って、教えてくれたんだな。
ここもまた、トトロの寝床につながっていそうな、とっても心地よいエネルギーの場所だった。
****
このあとも、まだまだこの日の旅は続くわけだけれども、「木」はこのへんでおしまいにしようと思う。
今回は、うっかり小菅神社のことまで書いて、ボリューミーな体験記になってしまった。
参道では、たくさんの「木」に出会った。
目立つ木、私の意識にははいらなかった木、可愛らしい木、凛々しい木・・・。
「木」は、人のようでもある。
もこもこさんや、ほっそりさん、ずんぐりむっくりさんや、へんてこさん。
ひとつとして同じものはない。
そして、そのどれもが、ただそこに立っている。
それぞれのペースで呼吸をしながら、ただそこに立っている。
その姿に、私は、こころを和やかにしてもらうのだ。
ただそこにいる。
それだけで、みんな美しい。
本当は、私たち人間も、そこから始まっているのだと思う。
神社になっているイチョウの木。こんなに大きなイチョウを、私は初めて見た。
美しい緑の葉が、風に揺れる。この木の中も異空間に繋がっていそう♪
イチョウの木の根元には、小さなほこらがあった。優しい空気を感じる場所だった。