タイの高級デザインホテルで朝食をとりながら、ついさっきまでいた河の向こう側を眺めて、とても不思議な気分になっていた。
河の向こう側で体験してきた、ごちゃまぜな感じから一変、いま私のいる場所は、とても洗練された美しい空間。
100円もあれば、お腹いっぱい食べられてビールも飲める世界のすぐ近所に、高級リゾートホテルが同居する国。
2014年5月。
初めて訪れた東南アジアの国・タイは、私にとって、面白いことだらけだった。
これまたいつものごとく、ドアーズの相棒ゆうこりんの突然の誘いで、飛行機のマイルを使って旅することになったタイランド。
行き先は、ゆうこりんがマッサージの勉強でも何度も通ったというタイの古都チェンマイ。
旅する前の無知な私のタイのイメージ。
とにかく、蒸し暑い。
屋台。
マッサージ。
安い。
土の匂い。
トゥクトゥクという乗り物。...ぼられる危険あり(笑)
ムエタイ。
ゾウ?!...映画あったよね
いつか行きたいな~と言っていた割には、情報収集ゼロ。
イメージって、ほんと偏りがあるよな、と我ながら恥ずかしくなる。
すみません。タイの方々。。
今回は、ゆうこりんが、「いつもひとりのときは1泊1,000円くらいの宿に泊まるけれど、二人なのでリゾート気分を味わおう!」と、ちょっぴり高級なホテルとリッチな気分を味わえるリゾートホテルを予約してくれた。
ちょっぴり高級なといっても、ひとり1泊3,000円程度。
それで、シェフが出来立てのオムレツを作ってくれるようなプールサイドの朝食も付いていて、優雅なリゾート気分を満喫できるのだから、なんとも素晴らしい!
高級デザインホテルのほうは、もうちょっとしっかり払ったけれど、東京じゃ、こんな高級ホテルにこの金額では泊まれないと思うと、対応も部屋の広さも含めて、大満足だった。
「アジアの国で、こういうリゾートな楽しみ方もあるんだよ」っていう、ゆうこりんのアウトドアとは違う方向性の"遊び方"に、私は、ほえぇ~~としっぱなし。
マイルをためて飛行機はタダ。宿も食事も安い、美味しい。
しかも、人も温かい。
そんな比較的日本からも近いタイは、ゆうこりんにとって若いときから、とても来やすい場所だったそうな。
納得。
さて、今回の旅。
まずは、タイ航空のおもてなしから、驚きまくりだった!
ごめんなさい!!タイという国をなめてました。
どんな田舎くさいところだと思っていたんだろう、わたし。。
飛行機は綺麗だし、サービスも心地よいし、機内食も美味しかったし、ちゃんとiPhoneを充電もできた!
しかも、タイの空港は、近代的だった~!!!
タイを紹介するハイテクな機械が置いてあったりして、想像を超えて手入れが行き届いた綺麗な空港だった。
初めての国に行くと、いちいち発見があって、新鮮でとても面白い。
自分の持っていたイメージがどんなに勝手なものだったかも思い知る。
このときの旅は、クーデターなどで、タイへの渡航への規制が解除された合間だったのだけれど、危険を感じることは一切なく、とってものどかな旅だった。
(続く)
そして、さぁ、タイと言えば、屋台!
数十円で美味しいタイ料理が食べられるなんて、夢のよう♪
ゆうこりんの目利き?!鼻利き?!で、どのお店の料理もとってもデリシャス!
炙り焼きされたチキンや一口ごとに「美味しい!美味しい!」を連発しちゃうようなタイ料理に、ビールをつけても、ひとり150円もあれば十分足りる。
タイでは、家庭にキッチンを持たないこともあるそうで、毎日、食事は屋台で買って帰るという人もいるらしい。
この写真の焼き鳥も数十円。
屋台は、夜になると道端に立ち並ぶのだけれど、これもこの国の文化で生活なんだぁとしみじみ。
町には、車が溢れ、高級リゾートやオシャレなカフェが立ち並んでも、共存している不思議さ。
格差という言葉が頭をよぎったりもしたけれど、この屋台のおじちゃんやお兄ちゃんたちの笑顔や働き方を見ていると、なんだか幸せそうにも感じた。
あるお店では、作った料理を届け終えると、私たちのいるお店の中のテーブルにつき、お店の子たちは、漫画を読みだした。
お勘定のときには、また、「はいは~い」と仕事。
そして、また漫画。
働きながら、休む。
これもひとつの働き方だよなと、妙に感心したり。
日本では、勤務中の飲食店で、お客様の前で漫画を読むとは、言語道断というところだけれど、この国では、これも常識らしい。
なんだろう。すべてにおいて、ゆる~い。
あったかくって、なんにもしなくてもフルーツもどんどん熟れてくような国だから、あくせく働かなくても、大丈夫なのかしら。
「一生懸命、休みなく頑張っちゃうひろかっちは、タイに行って、ゆる~い感じを体験するといいよ」と、かねがね言われていたけれど、確かに、ゆるい。
全体的に、このゆる~い感じと、適当な接客?!で調和がとれている。
そして、なりより嬉しかったのは、マッサージが安いこと!
大好きなマッサージはピンキリ!選び放題!!
町中のアトラクションのような1時間500円マッサージから、高級スパまで。
高級スパといっても、日本ではありえないコストパフォーマンスのよいスパだったりするから、思わず顔がほころぶ。
最後に泊まった高級デザインホテルの造りは美しかったし、対応も流暢な英語で、とても教育されているのがよくわかった。
そして、食事をとりながら思うのだ。
あの河の向こう側で、笑っていた屋台のおじちゃんや、ハグしてくれた町中マッサージ屋のおばちゃんの笑顔を。
このお店、ゴキブリいるだろうな~なんて思いながらも、美味しいから良いことにしよう♪と、たらふく食べたタイ料理屋のことを。
この写真は、高級ホテルのビュッフェだけど、えらい違い(笑)
どっちも美味しかったし、出会った人も、みんな温かかった。
タイも随分、近代化が進んで、昔と変わったそうだけれど、私の出会ったタイの人たちは、みんな優しかったな~って思う。
毎日、予定なんか、な~んにもなくて、やることと言ったら、マッサージとご飯食べることくらい。
やっぱり、私ったら、こういう生活に慣れないんだなぁと痛感したりもした。
ゆうこりんと出会ってから、「な~んにもしないをしよう」と言って、何度連れ出してもらったことだろう。
ぽけ~っとする、一見、無駄なように思える時間が、人生には、とっても大切だということを、このところ身に染みて感じている。
河を眺めながら、いろんなことを思った。
もし、日本との国交が途絶えて、この国で一生過ごさなければならなくなったらどうする?とか。
―今は、日本は世界的に友好的な国で、パスポートひとつで大概の国へ行き来できるけれど、私の意思でなく、強制的にどこかの国に住みなさいと言われたら、やっぱり悲しいな、とか。
でも、そうなったら、そうなったで、ここで生きる!って腹くくって、楽しむすべを見つけるのかな、とか。
外国に行くと、そういうことをふっと思ったりするのだけど、その度に、日本が好きな自分を発見する。
どの国の人たちも、ご飯を食べて、寝て、起きてという営みは一緒なのに、まったく違う世界がそこには広がっていて、私の知っている世界なんて、本当に小さなものなんだなぁと、月並みながら思う。
とにかく、河のむこうとこっちで、全く違う世界のような営みがなされていることが、そしてそれらがうまいこと共存していることが、とても印象的だった。
そして、私には、「河」の印象として、あっちの世界とこっちの世界を隔てちゃうような、ちょっぴり切ない感じがあったのだけれど、その感覚が少し薄らいでいくようだった。
屋台のおじちゃんたちの喧噪と高級ホテルの静寂が、同時にすぐそばで存在するパラレルワールド的な感覚。
しかも、そのどちらもそれなりに楽しそう。
そこになんだか、ほっとした。
文句なく、どっちの料理も美味しかったしね!
そんなことを思う私は、ゆうこりんを高級ホテルに残し、最終日前日、ひとりでトゥクトゥクに乗って、河を渡ってもう一度、喧噪の中へ。
もとい、「ひとりで行っておいで~(笑)」と、ゆうこりんに見送られて、"はじめてのおつかい"のように、ちょっぴりドキドキしながら、旅立ったのでした♪
ほのかに、じんわり、楽しかったな~と心に残っているチェンマイ。
また行ってみたい場所のひとつになりました。
さぁ、次は、どこへ行こう?!